眼鏡を失くしたメガネザル
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CAST
メガネザル
隼人
ピノ
ころん
トッポ



開幕

照明・基本(舞台の中心に大きなサス)
サスの中で、
隼人、ただ何もせずに立っている。
サル、走ってサスの中に入る。

サル「うわぁ~。眼鏡が無いよぉ~。眼鏡。眼鏡。眼鏡ぇ~!!」

サル、隼人に気付く。

サル「ねぇねぇ。僕の眼鏡見なかった?」
隼人「・・・。」
サル「ねぇ。ってば!?」
隼人「君、誰?」
サル「ふふっ。人に質問する時は、まず自分からいうものだよ!!」
隼人「でも、君から質問してきたじゃないか。眼鏡を見なかったか。って」
サル「じゃあ・・・。質問を質問で返すなんて、失礼じゃないか!!」
隼人「・・・。」
サル「ごめん。僕はメガネザル。」
隼人「眼鏡・・・?」
サル「そうなんです!! 眼鏡してないじゃないか!? って、お思いでしょう。心中お察し申し上げます。はいぃぃぃぃいい!! 失くしちゃったんですよぉ、眼鏡!! 今、探してるんだ。見なかった?」
隼人「そんなに大切なの?」
サル「当たり前だよ!? 名前に冠しちゃってるんだから!!」
隼人「名前に・・・。」
サル「眼鏡が無かったら、ただのサルだよ!! っていうか、むしろザルだよ。あなあなだよ!!」
隼人「そういうものかな?」
サル「そういうものだよ!!」
隼人「でも、大丈夫!!」
サル「何で?」
隼人「だって。僕は人間だけど、人の間で生きていないよ?」
サル「えっ?」
隼人「これまで僕は人と関わらないで生きてきたよ。人間なのに・・・。」
サル「・・・。」
隼人「これから僕は人と関わらないで生きていきたい。人間だけど・・・。」
サル「何で・・・。」
隼人「名前なんて、何の意味も無いんだよ。」
サル「・・・。そんなことないよ。僕は、そうは思わない!!」
隼人「じゃあ、僕は人間じゃないの?」
サル「それは・・・。そんなことはないと思うけど・・・。」
隼人「じゃあ、やっぱり名前に意味なんてないんだ!! メガネザルさん良かったね。」
サル「でも、やっぱり僕は、眼鏡は大切だな・・・。」
隼人「どうして?」
サル「だって、メガネザルは皆、眼鏡をしてるんだもん。眼鏡が僕らの象徴だもん。」
隼人「みんな?」
サル「そう、皆。お母さんやお父さん。お祖父ちゃんにお祖母ちゃん。近所のハゲ親父に、お魚くわえたドラ猫だって。メガネザルなら皆つけてるよ!!」
隼人「ドラ猫?」
サル「アレ。お魚くわえたサザエさんだっけ?」
隼人「そこはむしろ合ってたけど・・・。それにしても、つまらないことにこだわるんだね。十人十色。みんな違ってみんな良い。他のメガネザルが眼鏡をかけてようと、君が眼鏡をかけてなかろうと、ザルなんかじゃないよ。メガネザルだよ。」
サル「そうなんだけど・・・。とにかくさ。眼鏡っていうのは、僕が僕らしくいられる物なんだよ。だから見つけたいんだ。一緒に探してくれない?」
隼人「よく分かんないけど・・・。うん。分かった。じゃあ、一緒に探してあげる。」
サル「ホント!! うれしいな。」

人形、袖から

人形「じゃあ、僕らも手伝うよ!!」
隼人「誰?」

人形、それぞれ歌いながら出る。

ピノ「いつでも元気に、楽しくステップ!! ピノ!!」
トッポ「しっかり、かっちり。トッポ!!」
ころん「みーんなのアイドル。ころんだコロン」
隼人「誰?」
ピノ「えぇ~。僕らのこと忘れちゃったの!?」
隼人「忘れたっていうか・・・。誰?」
ころん「ひどい!! ひどい!! わたしたち、友達コロン?」
サル「友達? 君、ボッチだったんじゃ・・・」
隼人「怒るよ?」
サル「自分で言ってたんじゃん!? 人の間で生きて無いって・・・。」
隼人「でも、やっぱり君たちのことは知らないよ。ごめんね。」
トッポ「知らぬなら 教えてあげよう ホトトギス」
サル「突然どうしたの!?」

ME:ゲームセンターの中みたいな音楽
地明かりが点く。

隼人「パパー。あのぬいぐるみ欲しいぃ~」
トッポ「ダメだ。ゲームセンターなんて、お金をドブに捨てるようなもんだぞ」
隼人「えぇ~。欲しい。欲しい。欲しいぃ~~~~~!!!」
トッポ「ほら、もう行くぞ」

隼人、ピタッと止まって

隼人「さてはパパ、怖いんでしょ?」
トッポ「はあ!?」
隼人「分かるよ。その気持ち。もしも取れなかった時に、僕からカッコ悪いって思われるのが怖いんだよね?」
トッポ「そ、そんなワケあるか!!」
隼人「でもさ。もし、パパがこれを取ってくれたら、すっごくカッコいいなぁ~」
トッポ「かっこいい・・・」
隼人「憧れちゃうなぁ~」
トッポ「憧れ・・・」
隼人「尊敬だなぁ~」
トッポ「尊敬・・・」
隼人「パパ、大好き!!」
トッポ「よっしゃ!パパに任せとけ!!」
隼人「さっすがパパ!! カッコいい!!」
サル「うわぁ~。嫌な子供」
トッポ「よし。どれを取って欲しいんだ?」
隼人「う~んとね~。アレ!!」

隼人、ピノを指さす。

トッポ「ん? あんなので良いのか? あんま可愛くない気が・・・」
ピノ「うっさい!!」
隼人「うん。アレでいい。」

ピノ、隼人を睨む。

隼人「あっ、アレが良いです。ハイ。とっても可愛いです。ハイ」
トッポ「そうか。よし分かった。」

トッポ、お金を入れる。
ころん、全然違うところに降りたアームが再び昇っていくのを、笑顔で手を振って見送る。

隼人「あぁ~~」(残念)
トッポ「くそっ。」

トッポ、隼人の残念そうな目に気付いて

トッポ「しまった!! このままでは父親の権威ぐわぁ~~~~!! あっ、あんな所にショニー・デ。プ!!!」
隼人「えっ!? どこどこ」

トッポ、隼人が見ていないうちに≪500円≫を出す。

ピノ「それはまさか!!6回も挑戦権が獲得できる、≪500円≫だと!!」
トッポ「しかも、もう≪500円≫だぁ~」
ピノ「お前、死ぬ気か!?」
トッポ「ふっ、親父の背中にはそれだけの価値があるんだ!!」
ピノ「・・・そうか。しかし、こちらにだってプライドがある!! 手加減はせぬぞ!!!」
トッポ「のぞむところだ!!」

トッポ、すごい勢いでボタンを操作する。
ピノ、華麗によけるが、足をくじいてしまう。
ピノ、アームにつるされて。トッポのもとへ

ピノ「子供を想うその気持ち。負けたよ。」
トッポ「なかなかいい勝負だったな」

ピノ&トッポ、熱い握手

隼人「わぁ~!! パパ取れたんだ!! ありがと~」

照明・基本へ

ピノ「どう? 僕のこと思い出してくれた?」
隼人「ってことは、君は・・・。お父さん」

一同、こける

ピノ「いや。違うでしょ!?」
隼人「う~ん。あっ、もしかして!!・・・誰だろう?」

一同、こける

ピノ「だからぁ。僕は、人形のピノだってばぁ~!!」
隼人「嘘!! ピノ、喋れるの!? すご~い!!」
ピノ「えへへ。凄いでしょ。」
ころん「ころんは、8年前のクリスマスプレゼントだったころんだコロン。」
隼人「あぁ。サンタの格好をして窓から入ってこようとして、お父さんが警察に捕まっちゃった時のプレゼントか。」
ころん「うん!」
サル「お父さん!?」
トッポ「僕は、10年前くらいにお父さんがプレゼントしたトッポだよ。」
隼人「あぁ。CMで見て、これ欲しいなぁ~。って言ったら、隣町まで探しに行って買ってきたトッポか。」
トッポ「そう!!」
サル「お父さん!?・・・。何て言うか、良いお父さんだね。」
隼人「別に。そんなことより君の老眼鏡、探さないと・・・。」
サル「老眼じゃないもん。」

それぞれ、探す。

トッポ「うん? パンツ。」

トッポ、パンツを広げる。

隼人「ちょっと。止めてよ!!・・・エッチ。」
サル「需要ないと思うな・・・」
ピノ「あっ!! パンツ!!」

ピノ、パンツを広げる。

隼人「止めてってばぁ~。」
サル「だから、重要ないって。。。あっ、パンツ・・・」
隼人「へんたい!!」

隼人、サルをビンタ
SE:パシッ

サル「何で、僕だけ!?」
隼人「目がやらしかった。」
サル「ちょっと失礼じゃない!?」

サル、落ちているお弁当箱に気付く。

サル「あれ。何コレ?」

暗転

隼人「(国語の教科書を つっかえ つっかえ 読む)」
人形「(笑う。ただし、イジメではない。カラッとした笑い)」

SE:チャイム

人形「ありがとうございました!!」

明かりが点く。
舞台には、学校の机と椅子がいくつか置いてある。
舞台の中心に、学校の机と椅子を1セット。

ピノのことは、愛を持っていじってください。

ピノ「ごはん。ごはん。ごは~ん♪」
ころん「ご機嫌だな」
トッポ「うるさいしww」
ピノ「だって、お腹ぺこぺこだよぉ~」
ころん「さっき、ドーナツ食ってたじゃん。」
ピノ「ふふん。甘い物は別腹なんだよ!! テレビでやってたもん。」
トッポ「おっ、おう。」
ころん「ね~え。焼きそばパン買ってきて。」
ピノ「えぇ~。僕、パシリ!? だったら・・・。ドーナツで手を打つ!!」

ピノ、決めポーズ
SE:キラーン

ころん「じゃあ、よろしくぅ~。」
ピノ「了解しましたぁ~!!」

ピノ、ころんから財布を受け取って、走って捌けよう(教室から出よう)とする所で、
お弁当箱を持って捌けよう(教室から出よう)とする隼人にぶつかる。

ピノ「あっ、ごめん。ごめん。」
隼人「うっ。うん。」

ピノは、すぐに捌ける。
隼人、溜息をついて捌ける。

ころん「あ~。あいつマジありえんわ!!」
トッポ「あの馬鹿さは、神級だわwwwドーナツ好きすぎだしwww」
ころん「そのうち、お腹に穴開いちゃうんじゃない?」
トッポ「ホントに、開いたらウケてる場合じゃないけどな」
ピノ「もぐふわぁ~(ただいまぁ~)」

ピノ、帰ってくる。

ころん「お帰りぃ~。焼きそばパンは?」
ピノ「あれ?焼きそばだったっけ? コロッケパン買ってきちゃった」
ころん「はぁ!? もうピノ、ネジ外れすぎだって。」
トッポ「≪初めて○おつかい≫の子でももうちょいやれるでしょ?」
ピノ「ひどい~。けど、反論できな~い!! ごめんねぇ~」
ころん「まあ、良いけど。コロッケも別に好きだし。」
ピノ「やっぱり? そう思って買って来たんだよ!! 流石、僕www」

人形たちは、楽しそうに話し続ける。
隼人、出て来て舞台中央の机に座って、お弁当を食べ始める。
隼人に照明が絞られていって、暗転。

照明・基本へ

サル「えっと。今のは・・・」
隼人「別に関係ないでしょ。」
ころん「今のはね。お弁当の時間の隼人だころん。」
ピノ「皆、楽しく楽しく食べてるのに、一人だけ空き教室でポツンと食べてるんだよぉ~。」
サル「寂しいね。」
隼人「別に、寂しくはないよ。1人で食べてる方がおいしいし。好きでしてるんだよ?」
トッポ「あれ? よく僕らを抱いて泣いてなかったっけ?」
隼人「あれは、別に、さ。。。」

照明変化
SE:バタン(扉が閉まる音)

隼人、走って舞台に入ってきて、人形(キャストの誰か)を抱く。

隼人「(泣き声)」
隼人「何で、僕、1人でご飯食べてるんだろう。。。。僕、友達いなかったのかな。別に、今までは普通に一緒に食べる人もいたのにな・・・。いつのまにか、一人になっちゃった。」
隼人「(泣き声)」
隼人「ピノはさ。ずっと僕の味方だよね? ころんも。トッポも。ずっと一緒にいてくれるよね?」
隼人「(泣き声)」
隼人「なんてね。ホントにボッチみたい・・・。」
隼人「(泣き声)」

照明・基本へ

サル「・・・。」
隼人「別に、同情しなくていいよ。今は、何も思ってないから・・・。」
サル「そう・・・。」
隼人「ほら。僕の話しなんてどうでもいいでしょ?早く君のサングラス探そ?」
サル「そんなに、ガラ悪くないから・・・。」

それぞれ、探す。

サル「・・・あのさ。君は、人形だけしかいない。って言ってたけどさ。家族とかいるでしょ? 家族ってさ。すっごい大切だと思うんだ。いつも、一緒に住んでるんだから、君のことも一番知ってると思うし。一番、考えてくれてると思うよ。時々、うざいなって思うことはあるけどさ。でも、やっぱりそれ以上に、いざという時に心の支えになると思うんだ。ほら、君のお父さん。優しかったしさ。」
隼人「・・・。そうだね。優しかっ“た”ね。」

暗転

SE:赤ちゃんの泣き声

ころん「う~ん。どうして泣いてるのかな?僕は、どうして泣いてるのかな?う~ん?べろべろバー。」

SE:赤ちゃんの笑い声

明かりが点く。
舞台には、ベビーベッドとちゃぶ台。
ころん、ベビーベッドの中の赤ちゃんをあやす。
隼人、ちゃぶ台に座って宿題をしている。

トッポ「ただいまぁ~。」
隼人「パパ。お帰りぃ~。」

入ってきたトッポに、隼人は駆け寄る。

トッポ「おう。」

トッポ、手を上げるくらいで、すぐに弟の方へ。

トッポ「ただいまぁ。パパでちゅよぉ~。」
ころん「うんも。そんな声、私に出してくれたことあったっけ?」
トッポ「旦那さんでちゅよ~。」

トッポ、ころんをくすぐる。

ころん「止めてよ。もう。」
トッポ「ははは。よーし。高い。高~い!!」

トッポ、赤ちゃんを高い高い。

トッポ「あれ、大きくなったなぁ~。」
ころん「そんなに早く、変わらないわよ。」
トッポ「いや。かなり成長したぞ。」
ころん「そうかな。」
トッポ「言葉話すようになるのも、すぐじゃないか?」
ころん「ママ。って呼んでくれるかしら、うわぁ。すっごい楽しみね。」
トッポ「だな。」
ころん「(笑う)」
トッポ「(笑う)」

暗転
明かり点く。
舞台には、ちゃぶ台。
隼人、宿題をしてる。
ピノ、変身ベルトとかを着けて、暴れてる。

ピノ「○○キーック!!!!」

隼人にキーック!!!!

隼人「何するんだよ!!!」
ピノ「そんなとこにいるお兄ちゃんが悪いんだろ!!」
隼人「はぁ!? 突然蹴るなよ!! バーカ!!」
ピノ「僕を悪くないもん。お兄ちゃんの、バカ。アホ。おマヌケ!!」
ころん「こらっ!! 喧嘩しないの!!」
隼人「僕、悪くないからね!! こいつが・・・」
ピノ「僕じゃないよ!! お兄ちゃんが悪いんだからね!!」
隼人「うるさい!! ちび!!」
ころん「コラ!! お兄ちゃんのクセに何てこと言うの!! 2人でいて喧嘩になるならあっち行ってなさい!!」
隼人「でも!!」
ころん「行きなさい。」
隼人「・・・はい。」

隼人、捌けようとする。

ピノ「お兄ちゃんなんて、死んじゃえばいいんだ!!」

照明・基本へ

隼人「確かに、優しかっ“た”よ。でもさ。今は、全然。昔は、怒られたりもしたけど。今では、怒られることすら無くなっちゃった。僕、見捨てられたんだよ。」
サル「・・・。」
隼人「ほら。別に僕は、今に満足してるんだ。学校でも誰とも関わらない。家族とだって関わらない。それでも、こうやって元気に生きてるんだよ。だから、君が気にする必要はないんだよ!! 僕が、満足してるんだから。ね? よし。早く君のゴーグル探そ?」
サル「・・・・・。僕、カナヅチだから水泳しないよ?」

SE:チャイム
舞台は、学校の教室。
黒板に、遠足の班決めが書いてある。
人形たちは、黒板の周りに集まってストップモーション。
隼人は、机にポツンと座っている。
隼人の隣に、サルが立っている。

サル「ねぇ。君はさ。ボッチでも良いって言ってたけどさ。そもそも何でボッチなの?」
隼人「・・・。」
サル「クラスの子たちが、グループ作って食べてる。そこにさ。一緒に食べよって言う勇気が無かったんじゃないの?」
隼人「違うよ。1人で食べてる方が気が楽だし。」
サル「その言葉自体がごまかしじゃないの?」
隼人「違うよ、僕は!!!・・・。」
サル「・・・。」
隼人「僕は、僕なんていない方が良いって思ったんだ。皆、僕なんかと一緒にご飯、食べたくないんだって。」
サル「・・・。」
隼人「気付いたら僕は、一人でご飯食べてて、あんまりクラスの子とも話さなくなってて。多分、皆は僕なんていない方がいいって、思ってる。」
サル「そうかな。僕は、そんなことないように見えるよ。」

人形たちのストップモーションが解ける。

ピノ「ねえねえ。隼人くん!! 僕らと一緒に、遠足まわろうよ!!!」
隼人「えっ?」
ピノ「遠足だよ。遠足。遠足の班!!一緒になろうよ。」
隼人「うっ、うん。」
ピノ「ホント。やった。じゃあ、4人でまわろ!!」
隼人「4人?」
ピノ「うん!!」
ころん「んじゃ。よろしく。」
トッポ「よろしくう。」
隼人「よろしく。」
トッポ「いやぁ。にしても、隼人がOKすると思わなかったな。」
隼人「えっ、何で?」
トッポ「だって、いつも、俺に近づくな!って顔してるし。」
ころん「ねぇ。あの顔は近付きがたいよね。」
隼人「怖い顔なら、君らには負けるよ。」
トッポ「おっ。言うねぇ~。」

トッポ、軽~く隼人の首を絞める。

隼人「痛いって。」

隼人、笑いながら抵抗。

ピノ「うわぁ~。もう仲良しだぁ~。」

暗転
舞台には、ちゃぶ台。
それを囲んで、ころん&トッポ

ころん「最近、隼人がいっそう元気ないんだけど・・・。」
トッポ「う~ん。難しい年頃だしなぁ~。」
ころん「何か、力になれることないかしら・・・。」
トッポ「あったらいいけど。余計なこと言って、余計傷つけたらと思うとなぁ~。」
ころん「そうね。」
トッポ「くやしいけど。今は、あいつが自分の力で元気になるのを見守るしかないんじゃいか?」
ころん「親って、無力ね。」
トッポ「そんなことないさ。ご飯とか。服とか、そういう所であいつの負担を失くさせてやれるだろ」
ころん「うん。」

暗転
舞台には、ちゃぶ台。
ころん&ピノがいる。
ピノは、ちゃぶ台でお絵かき。

ころん「何描いてるの?」
ピノ「お兄ちゃん!! お兄ちゃん、最近、元気ないからプレゼントするんだぁ~!!」
ころん「そっかぁ~。喜ぶといいわね」
ピノ「絶対、喜んでくれるよ!!」

照明・基本へ

サル「どう?」
隼人「今のは?」
サル「僕の妄想の中。」
隼人「妄想? じゃあ、ホントじゃないんだ。」
サル「ホントじゃないかもしれないけど、ホントかもしれないよ?」
隼人「・・・。」
サル「君はさ。人と繋がって、そして、自分が傷つくのが怖くて、周りを見ようとしてないだけだよ。」
隼人「・・・。」
サル「周り、しっかり見てみなよ。君の家族、良い家族かもしれないよ? 君のクラスメイト、良いクラスメイトかもしれないよ?」
隼人「そうかな?」
サル「僕には分かんないけどね。自分で確かめるしかないんじゃないかな? でもさ。そもそも君がこうやって、生きてられるってことは、親がご飯を用意してくれてるってことだよね。その材料とかはさ。牧場の人とか、農場の人とか、卸売の人とか。とにかく、たくさんの人が関わってるってことだよ。」
隼人「・・・。」
サル「人間はさ。その名の通り、人の間に生きてる動物なんだと思う。絶対に誰かに助けてられてるんだよ。気付かないうちに。それを見ようとしてないだけ。」
隼人「そっか。僕も、眼鏡失くしちゃってたのかもね。」
サル「?」
隼人「ほら。周りが見えて無かったんだもん。」
サル「なるほど。隼人。勇気だしてね。」
隼人「うん!!」

隼人「あっ。メガネザルさんの虫めがね有ったよ!!!」
サル「レンズが一個減ってるんだけど!?」

ME:希望に溢れる曲

サスが点く。
生徒(人形たち)と笑い合う隼人。

サスが点く。
弟(ピノ)に勉強を教える隼人。

サスが点く。
挙手をして、笑顔で発言をする隼人。

サスが点く。
お母さん(ころん)のお手伝いをする隼人。

サスが点く。
お弁当を生徒(人形たち)と食べる隼人。

サスが点く。
ちゃぶ台を家族4人で囲む。


終幕



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