『ラブ甘ヘキサゴン』 登場人物: 伊藤 達也(いとう たつや) 西岡 萌(にしおか めぐむ) いかの塩辛(いかのしおから) 川野 美鈴(かわの みすず) 田中 涼子(たなか りょうこ) 高木 早紀(たかぎ さき)
開幕
シルエット暗転
達也「うえ~ん」 萌「大丈夫?」 達也「うっ。うえぇ~。パパが。パパぐわぁ~~~~~~」
達也、泣き続ける。 萌、優しく見てる。 達也「何か。萌ちゃんといると安心するね。不思議ぃ~。」 萌「そうかな?」 達也「うん!!」 時間が流れた演出 達也「僕、メロン!!」 萌「ずる~い!! 私もメロンがいい!!」 達也「・・・。じゃあいいよ。メロンあげる!! 萌ちゃん可愛いもん!!」 時間が流れた演出 達也「そしたら橋本がさぁ~。」 萌「ねえ。達也ってさぁ。彩花のことが好きなの?」 達也「えっ、・・・うん。」 萌「そっか・・・。うん!! 彩花、可愛いもんねぇ~。応援するよ!!」 達也「ありがと!! 萌って、やっぱり良い奴だよな。幼馴染で良かったぁ。」 時間が流れた演出 萌「あのさ。達也・・・。」 達也「えっ・・・。何?」 萌「前から達也のこと好きでした!!」 達也「何だよぉ~。もう。そんな改めて言われると、照れるだろぉ。大丈夫、俺も好きだよ。これからも良い幼馴染でいような!!」 萌「そうじゃなくて!!」 達也「うん?」 萌「・・・ううん。やっぱいい・・・。」 照明がつく。 ベットに寝ている達也 達也「なんだ夢か・・。なつかしいなぁ。でもなんでこんな夢・・・。」 萌「達也、寝てなきゃだめだよ。熱があるんだから!!」 達也「うん。分かってるよ。」 萌「たく。バカは風邪ひかないっていうのにね?」 達也「じゃあ、俺が天才だった。ってことだな!!」 萌「あぁ。かもね。」 萌の足元にチラシが落ちる。 萌「何コレ?」 達也「俺さ、彼女が欲しいんだ。」 萌「こっ、これは、遠まわしの告白だな。この後にぃ~・・・。だから、俺と付き合ってくれ。とか続けちゃうんだよ。それとも、お前の輝く笑顔がないと俺はもうダメだ。とか、僕のこれからの人生は君を幸せにするためにあるんだ。とか、俺が今まで独身でいた理由は、お前と結婚するためだったんじゃないかと思うんだけど、お前はどう思う? とかぁ~。キャ―――。幼馴染としてやってきて20年。やっと、やっと、私の片思いが実るのねぇ~。ああ~ん。私の心に、恋のメロディーが・・・。」 ME:こいのぼり(ダンス隊を出しても可。) 萌「違――――う!!愛のメロディーが・・・。」 ME:アイスクリームのうた(ダンス隊を出しても可。) 萌「だ~か~ら・・・」 達也「萌。」 萌「はい!! 来た来た来たぁ~。」 達也「これを見てくれ。」 萌「はっ?」 達也、萌に広告を見せる。 萌「寂しい人救済します。恋人派遣会社ドリーム・・・?」 達也「なんかね。彼女候補の子が派遣されてきて、その中から気に入った子と模擬カップルになれる! みたいな会社で、コンセプトは、社員としてでなく、彼女候補たち個人として、あなたを愛します。だって。俺も頼んでみようかなと・・・」 萌「バカヤロ―――――――。」 暗転
明かりが点く。 舞台には、達也 それから、美鈴・いか・早紀はどこかあり得ない場所にに隠れておく。 美鈴、隠れている所から飛び出して、 美鈴「達也さんの彼女候補1番。川野美鈴です☆ よろしくで~す。」 達也「えと。制服コスプレかな?」 美鈴「うわぁ。まじおこ。ガチな女子高校生なんですけど。」 達也「それ、売春とかじゃないの!?」 美鈴「大丈夫!! バレるようなヘマしないから。」 達也「全然大丈夫じゃ・・・」 いか、隠れている所から飛び出して いか「彼女候補2ば・・・」 達也「男だろぉ~。」 いか「・・・ん。本名は秘密。源氏名はいかの塩辛です。」 達也「しおか・・・。何故? 何故!」 いか「だってぇ~。ババロアとかもあるし、塩辛でも良いかな? って」 達也「いや。意味が分からん。」 いか「ほらぁ~。食べ物つながりで。」 達也「何で塩辛!?」 いか「良いじゃない。好きなんだから。」 達也「やっぱり親父ぃ~。」 美鈴「よくないでしょ!! これからあんたの名前呼ぶとき何て呼ぶのよ?」 いか「いかの塩辛さんでいいわよ。」 達也「ってか論点はそこじゃ・・・」 美鈴「長いでしょ!! 寿限無 寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末 食う寝る処に住む処 藪ら柑子の藪柑子 パイポパイポ パイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助。並みに言いにくいわよ。」 いか「おぉ~。」 達也「いや。そこまででは・・・」 美鈴「ってことで、あんた、いかちゃんね。」 いか「なにソレぇ~。めっちゃ可愛いぃ~。」 美鈴「だしょ! だしょ!! バッカルコーンかわゆすいでしょ。えびちゃんこと、○原友里に 徹底対抗。」 いか「いかちゃんこと、いかの塩辛!! こりこりとしてて、飽きさせないぞ.」 美鈴「こりこりって、ゆうこりんにも対抗できるんじゃない?」 いか「ホントだぁ~。」 美鈴&いか、きゃっきゃ。こりんこりん。言っている。 達也「この会社ダメだぁ~。」 涼子、ドアから普通に入ってきて、 涼子「達也さんの彼女候補の田中涼子です。精一杯つくさせていただきます。」 達也「普通じゃねぇ~か!!」 涼子「すみません。」 達也「あっ、いや。別に怒ってないから。」 美鈴「達也。おつハムニダ」 達也「年上呼び捨てかよ。」 美鈴「だって彼女だしぃ~。あっ、うちのことは、美鈴でよろん☆」 いか「じゃあ、私のことは、いかちゃんね。達也くん.」 達也「呼びたくねぇ~。」 涼子「私のことは何と呼んでいただいてもかまいません。達也さん。」 達也「はあ。何ていうか・・・。失敗したなぁ~。」 涼子「何を失敗なさったのですか?」 達也「ろくな奴がいねーなぁ。って。」 いか「失礼ね。私達はドリームのベスト3よ。」 達也「絶対ワーストだろ!!」 いか「あっ、バレた。」 美鈴「ちょっ、しーしー。」 達也「やっぱ、そうなのかよー」 いか「ワースト2位で~す.」 美鈴「ワースト3位です☆」 涼子「・・・・ワースト1位です。」 達也「えっ、いかちゃんじゃなくて涼子さんがビリなの!? うわ~。俺だったら男はないわぁ~。趣味のおかしいやつもいるもんだね。」 いか「ちょっと、男はないわぁ~。って何よ! 例えば、人面犬。あれって、犬と人間が恋に落ちて生まれた子でしょ!? 変じゃない!? 犬と人間よ!? それに比べたら、男同士でも人間同士の方が普通じゃない!? 同性だからって弾く前に、同じ人間として私を見てよ!!」 達也「うっ、うん・・・?」 萌「おじゃましまうまぁ~♪」 達也「いらっしゃいんこぉ~。」 萌、出る。 萌「何!! この女ども!! やっぱり達也頼んじゃったのね。私がいるのに・・・。」 いか「この子だれ?」 萌「男じゃね~か!! 達也、これって詐欺だよ!! 絶対、詐欺!! クーリングオフしたほうがいいって。」 達也「うん。ぶっちゃけ俺もそう思う。」 萌「じゃあ、そうしなよ!!」 いか「待って待って。するなら、涼子だけにしてよ!!」 涼子「えっ、そんな・・・」 美鈴「うわ~。いかちゃんにカム着火インフェルノーォォォォオオウ。むしろ、いかちゃんだけ、クーリングオフ。」 いか「なによ~。」 達也「よし。全員、クビ―――――――!!」 早紀、隠れている所から飛び出して、 早紀「期間中にキャンセルするんなら違約金払ってもらうよ!!」 萌「今度は誰よ!!」 美鈴「やばばばばばばば。早紀さんじゃん。」 早紀「・・・」 萌「えっ?」 美鈴「高木早紀さん。ドリームのNo.1。もちろんベスト。」 早紀「よろしく。」 達也「何で(この会社の社員は変なところから出て来るんだぁ~)?」 早紀「あんたが詐欺だの。クビだの。喚くから、派遣されてきたんだろ。ったく。めんどくさい。」 萌「この態度の悪さでNo.1なの!?」 早紀「態度の悪さだけじゃないでしょ?それより大切なことがあるでしょ。」 達也「じゃなくて、何でこの会社の社員は変なところから出て来るんだぁ~?」 4人「気にしないで!!」 早紀「あっ、そうだ。あたしが来たから1人ドリームに戻ってくれる? 3人までだから・・・」 涼子「えぇ~。」 美鈴「誰が戻る?」 いか「ここはやっぱビリの涼子じゃない?」 涼子「私はいかさんが良いと思います。」 美鈴「はげど」 いか「ちょっと!!」 早紀「はぁ。結局自分のことだけよね。達也、誰が要らない? 達也が決めていいよ。」 達也「えっ・・・」 いか「達也く~ん。ここ座りなよ。」 涼子「達也さん。肩こってませんか。」 美鈴「よく見たら超イケメンじゃん。」 いか「よく見たらとか失礼。ぱっと見でイケメンだよぉ~。あっ、ちょっと待ってて。」 美鈴「あっ、うちも。」 いか&美鈴、捌ける。 達也「ねぇ。何か機嫌悪くない? どうしたの?」 萌「何でもないよ」 達也「そんなことないだろぉ~。幼馴染なめんな!!」 萌「べっつにぃ~。好きな人がずっと他の人とラブラブしてるからってだけ。」 達也「うわぁ~。それはキツイね。」 萌「この鈍感野郎・・・」 いか&美鈴、それぞれカップを持ってくる。 涼子、それに気付いて捌ける。 いか「達也くん。私の愛情たっぷりなコーヒー召し上がれ.」 美鈴「ううん。うちの牛乳の方がおいしいよ。」 いか「何言ってるのよ。コーヒーは脂肪燃焼効果があってダイエット効果があるのよ。美鈴も飲むべきなんじゃない?」 美鈴「はぁ? 牛乳飲んだら口の周りが真っ白の髭みたいになってちょっと面白いんだから。あんたの汚いだけの髭とは大違い。」 SE:精霊召還みたいな音 いか「うぉ。うお~。わたしはコーヒーの精よ。わたしは、あなたの中枢神経を穏やかに刺激して、ツンツン.体もこ・こ・ろもぜ~んぶ、リラックスさせてあ・げ・る・わ.」 SE:精霊召還みたいな音 美鈴「ほーほっほっほ。所詮あなたはコーヒーの精。液体に腹黒さがにじみ出ているわ。それに比べてわたしは色白で素敵でしょ。ほーほっほっほ。」 いか「あら、でもあなたって腐りやすいわよね。性根が腐ってるからじゃないかしら?」 美鈴「あなたって、にが~いわよね? さぞ、苦い恋ばかりなんでしょうね?」 いか「苦い恋は、大人の恋なのよ。」 美鈴「行き送れたおばさんでしょ? 取り戻しようのない若さを前にひれ伏すが良いわ!!」 いか「大人の色気の圧勝よ。」 美鈴「はあ!? ミルクって、響きの方が色気ムンムンでえっちぃのよ!!」 いか「あら? コーヒーもなかなかエロいわよ?」 いか&美鈴「達也、ミルクとコーヒー。どっちがエロい?」 達也「どっちなんだぁ~。」 萌「論点違うでしょ!!」 いか「私のコーヒー飲んでぇ~.」 美鈴「うちの牛乳、まじ美味だよ☆」 達也「・・・そうだ!!先人はとても凄い発明を残してくれた・・・。コーヒー牛乳にして 飲めば良いじゃないか。」 涼子、グラスを持って出る。 涼子「あの、私の麦茶・・・。」 達也「おぅのぉ。コーヒー牛乳ティーな感じか・・・」 涼子「あっ、そんな無理して飲まなくても良いですよ。萌さんにでもあげますから。」 萌「あっ、ありがと。なんかフクザツ・・・」 早紀「あのさぁ~。そろそろ誰を帰すか決めてくれる?」 達也「えっ、じゃあ・・・。いかちゃ・・・」 いか「達也くん!!」 いか「私は本当に本当に達也くんのことを愛しているわ。確かに、他の人たちは女の子で、私は男・・・。達也くんも男で、私はスタートラインにも立ててない感じかも知れないけど・・・。でも、私はあきらめない。まずはスタートラインに立てるように。一歩ずつ一歩ずつ。達也を日本中のどこへだって追いかけるわ。そして、いつかはハネムーンで世界中に!!」 萌「勝手に行って来たら。」 美鈴「行ったら日本へは来ないようにしてね。」 涼子「お土産は郵送でお願いします。」 早紀「早よ行って来い。独りでな。」 達也「いかちゃん。悪かった。俺は君を誤解していたようだ。」 いか「達也.」 達也「いかちゃん.」 いか「達也.」 達也「・・・」 いか「達也.」 達也「やっぱ、ダメぇ~~~~~~~~~~!!」 いか「達也.達也.達也.達也.達也.達也.達也.達也.達也.達也.達也.達也.達也.達也.達也. 達也.達也.達也.」 達也「分かったから。涼子さんにするから」 涼子「達也さん。私はドリームの社員としてではなく、田中涼子個人として達也さんを愛しています。この気持ちに嘘偽りは一切ありません。ですので、私を戻すのは止めてもらえませんか? そうすれば本気で私は達也さんを幸せにして見せます。」 達也「あぁ~・・・。うん。じゃあ、美鈴にするよ・・・」 美鈴「激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム。うちがこんなに池様な達也のことをらぶぽよなのになんでそんなこと言うの? バットトリップにスリップインザサゲなんだけど。ゆっても、やっぱ達也は神だから、うちはキュン死になんだけど的な。分かリル?」 達也「日本語喋れ!!」 萌「あっ、今気付いた。」 いか「あぁ~。それって、緑色の動物がいないってことじゃない?よく気付いたね!!」 萌「かえる・・・」 達也「アオダイショウ・・・」 美鈴「うぐいす・・・」 涼子「カメレオン・・・」 早紀「ミドリモ・・・」 萌「そんなことじゃなくて、あんたって未成年じゃないの!? こんな仕事大丈夫なの!!」 美鈴「ばれないようにやってるからオールおK。」 萌「いやダメでしょ。」 美鈴「だから良いって言ってんじゃん。」 萌「よくないわよ。ご両親はこのこと知ってるの。」 美鈴「知るわけないじゃん。っても、母親は死んで、父親は会社クビになってから1日中遊 び歩いてて、うちのことなんて興味ないからだけど。」 萌「そんなことないわよ。お父さんがこのこと知ったら激怒するわよ。」 美鈴「怒るわけないじゃない。あの人は私に興味なんてないの。」 萌「そう・・・。だったらいいわ。達也、ドリームに行って美鈴を辞めさすわよ!!」 達也「えっ?」 美鈴「何でそんなことするのよ!?」 萌「そんなの決まってるでしょ!!」 美鈴「!?」 萌「ライバルを一人でも減らす為よ♪」 達也「?」 美鈴「私怨かよ!!」 達也&萌、捌ける。 いか「あぁ~。がちゃぴん!?」 早紀「動物じゃないでしょ。」 美鈴「あぁ~。もう何なのよ。あいつ。」 涼子「でもまあ、未成年がこんな仕事をするのはやっぱり間違ってますからね。これを機会に辞めるべきだと思いますよ。」 美鈴「なによ。あんた、ビリのくせに説教しようとしてるの。」 涼子「そういうわけじゃないですけど・・・。」 美鈴「あんたこそ辞めるべきじゃないの。ビリさん?」 涼子「ビリビリ言わないでよ。私だって色々努力して・・・」 美鈴「へぇ~。努力? 自分で考えもしないで全部マニュアル通り・・・。それが努力なわけ!?」 涼子「そうよ。お客さんに失礼のないようにマニュアル通りに行う。それが私の努力よ!!」 美鈴「自分で何も考えないなんて、さぞ簡単な努力ですこと」 いか「ちょっと止めなよ。」 早紀「ほっときなよ。」 いか「でも・・・。」 涼子「だって・・・、自分で考えても失敗するだけ。何も成功しなかった・・・。だから・・・。」 いか「美鈴。涼子に謝りなよ。言い過ぎよ。」 美鈴「何言ってんの? このおばさんが最初にうちに辞めるべきだよ。って教えてくれたから、うちも教えてあげただけ。恋人派遣はマニュアル通りじゃ、ビリになっちゃうんだよぉ~。って」 涼子「ふざけないで!! 私はビリでも、成人してるから。あんたと違って続ける資格はあるの!! 残念だったわね。」 美鈴「子供だからって、差別してんじゃねーよ。うちだって同じ人間でしょ。」 涼子「そんなこと言ったら私だってビリでも同じ人間よ!! だいたいあんたは子供なんだから、こんなとこで働いてちゃダメなの、パパやママの待ってる家に帰ればぁ~。あっ、ごめーん。二人ともいないんだっけぇ?」 いか「やめなって!!」 美鈴「うちは、親がいなくても生きていけるから。努力することすら出来ないあんたと違って。」 早紀「いい加減にしなよ。お前らお互いに傷付けあって何が楽しいの。子供だからとか、ビリだからとかお互いに言い合ってバカなんじゃないの?自分で言ったんでしょ? 子供でも、ビリでも、人間だって!! 違うの!? そんな風に側面しか見れてないから、2人ともワースト3なんでしょ。」 涼子「私のこと何も知らないのに勝手なこと言わないで。」 美鈴「うちのこと何も知らないのに勝手なこと言わないでよ。」 達也&萌、出る。 達也「あれ?どうかした?」 いか「実は、かくかくしかじか」 早紀「まるまるうまうまで・・・」 達也「なるほど」 サス2本、点く。 どっちかのサスで 萌「あのさ。私もまだ社会人成り立てだけどさ・・・。社会人って結構大変なんだよね。」 美鈴「何? あのおばさんのことかばおうとしてんの?」 萌「まあ、そうかな。」 美鈴「だったら聞かねぇー。」 萌「もう。じゃあ、一つ良いこと教えてあげるから、聞いてよ。」 美鈴「内容にもよる。」 萌「美鈴ちゃんのお父さんさ。遊びに行ってたわけじゃないんだよ。会社クビになってからさ。美鈴ちゃんを不自由させないようにって、一日中、バイトしてたんだよ。」 美鈴「そんなの嘘ッ!!」 萌「ホントだって。お父さんが出した企画が失敗しちゃってクビになったらしいんだけどね。なかなか採ってもらえる会社がなくて、でも、美鈴ちゃんを育てるのにはお金がかかる。って、1日中アルバイトしてたみたい。」 美鈴「何でそんなこと分かるのよ!!」 萌「最近、ドリームに面接に来たらしいわ。それでね。ドリームに就職決まったって。」 美鈴「そんな・・・」 萌「涼子さんもね。そうなんだよ。昔の涼子さん。今の美鈴ちゃんとかみたいに色々考えて、お客さんを楽しませようとしてたんだって。でもね。失敗しちゃったんだよ。だから・・・。美鈴がお父さんに捨てられたって思って辛かったのと同じように、涼子さんも辛かったんだよ。」 美鈴「っでも・・・・・」 萌「美鈴ちゃんは、子供ってだけでドリームを続ける資格ないって言われるのが、嫌だったんだよね? そりゃ、そうだよね。子供でも、一生懸命、お客さん喜ばせようと頑張ってたもんね。でも、涼子さんだって、お客さんに嫌な思いをさせないようにって、考えた結果が、マニュアル通りにすることだったんだよ。美鈴と一緒。ビリってだけでドリームを続ける資格がないなんて言われたくなかったんだよ。」 美鈴「・・・うん。」 萌、サスから離れて真ん中に行く。 別のサスで 達也「涼子さんがそんなに怒ってたなんて信じられないね。」 涼子「だって、ビリだから辞めればなんて・・・。そんなこと・・・。」 達也「そういえばさぁ。聞いたよ。涼子さんの昔の話。涼子さんが考えたしいたけゲームをお客さんとやって、怒らせちゃったんでしょ?」 涼子「思い出させないでください。」 達也「しいたけ・・・」 涼子「にょこにょこ」 達也「しいたけ・・・」 涼子「のぽのぽ」 達也「確かにつまんないよね。」 涼子「!?」 達也「まあ、このゲームは失敗作だと思うけどさ。負けないで、頑張りなよ。」 涼子「だって」 達也「美鈴のお父さんのクビになった理由。涼子さんと一緒で自分で考えた企画がダメになったんだって。でも、お父さんは頑張ることを辞めなかった。1日中、家にいないで外で働いてた。」 涼子「でも、美鈴のためでしょ。だったら、あの子は・・・」 達也「母親が亡くなって、父親も家に帰ってこなくて、捨てられたって、思っても仕方ないんじゃない? でも、美鈴は努力を止めなかったよ。頑張って働いて父親がいなくても生活できるように頑張ってた。その点では、涼子さんより偉いんじゃない?」 涼子「そうですね・・・。」 達也、サスから離れて真ん中に行く。 美鈴、涼子、見つめあう。 美鈴& 涼子「ごめん・・・なさい。」 2本のサスが消えて、中央に1本のサスが点く。 達也「萌、どうだった? こっちは完璧だよ。」 萌「こっちもOK!! お父さんのこと言ったらすぐに・・・。」 達也「単純だな・・・。」 萌「根は良い子なんだよ。きっと・・・。」 達也「そうだな・・・。」 萌「お父さんといえばさぁ~。昔、達也がお父さんに怒られて家を追い出された時、よく泣きながらうち来てたよねぇ~。」 達也「昔の話だろ。」 萌「あのころの達也は可愛かったなぁ~。弟みたいで・・・。」 達也「どうせ今は可愛くないですよーだ。」 萌「そうだね。今は、かっこいいかな?」 達也「o((〃∇〃))o ありがと。」 萌「あれ? 意外な反応・・・。もしかして照れちゃった?」 達也「そっ、そんな訳ないだろ!!」 萌「そうだよねぇ~。どうせ可愛くない私が言っても何も思わないよね・・・。」 達也「いや。萌は可愛いよ.」 萌「ありがと・・・。」 達也「そっ、そういえば、子供の頃は、一緒に寝たり、お風呂入ったりしたよな。」 萌「そだね。」 達也「子供だったよな。今はとても・・・」 萌「私、達也ならいいよ。っていうか、達也と・・・」 萌、達也に抱きつこうとする。
暗転 明かりが点く。 達也にいかちゃんが抱きついている。 達也「うわっ!!」 いか「達也く~ん。私は心の底から、あなたを愛しているわ~ん.」 達也「ちょっと、シャツに口紅ついただろ!!」 いか「達也く~ん。私を正式に恋人にしてください。」 達也「だから、最初っから言ってるだろ!? いかちゃんは無理だって」 いか「それは、私が、男、だから?」 達也「ああ。」 ホリが真っ赤に(orホリにいかちゃんの影を映す。) いか「言ったわよね?男だからって弾かないでって? 人間として見てって。言ったわよね? それでも、あんたは性別で私を振るのよね?」 達也「あっ、ああ、あぁ」 いか「死になさいよぉ――――――――!!!!!」 達也「人間として嫌いだ――――――――――!!!!!」 いか「えっ?」 達也「誰か1人ドリームに帰らなきゃいけない時に、涼子さんを帰らせようとしたり、こっちに気を使おうとしないで感情をぶつけてきたりとか、そういう自己チューな所が嫌いなんだよ!! お前を!! 人間として!!」 SE:空気の抜ける音(プシュー) いか「そっか。分かった。ごめんなさい。」 早紀「いかちゃん。あたしは好きだよ。いかちゃんのこと。」 いか「えっ?」 早紀「いかちゃんのコーヒーのことについて熱く語るとことか、涼子と美鈴がケンカしてるのをほっとけない優しいとことか・・・。大好きだよ。」 いか「早紀さん・・・。うれしい・・・」 SS等で一本の光の筋。(成仏シーンを演出) いか「達也くん。私を性別じゃなくて、1人の人間として見てくれてありがとう。」 達也「おう。」 美鈴、涼子、出る。 涼子「達也さん。ありがとうございました!! ドリームに帰らなきゃいけない時に、なかなか1人に選べない優しいところが、私、大好きです.」 達也「ありがと」 美鈴「牛乳、コーヒー、お茶を選ぶときに、うちらを傷つけないように頑張ってくれるの、俄然好きだよ!! 結局、涼子さんをフォロー出来てなかったけど、そういうドジなとこも含めてラブいよ.」 達也「ありがと」 いか「私もね。達也の顔、大好きだよ.」 達也「あ、ありがとぉ」 早紀「いかちゃんに同じ」 達也「おいっ!!・・・まあ、いいやo(^*^)o俺も皆のこと好きだよ」 早紀「達也、あたしらより、他に言うべき人がいるんじゃない? 関係なんて考えずに、その人のことしっかり見つめてあげなよ。同じ人間として。 じゃあ、行こっか。」 いか&美鈴&涼子「うん」 徐々に光が強くなっていく。 涼子「もうこの世に未練なんて無いよ!!」 美鈴「コレで成仏出来るわ!!」 いか「達也きゅ~ん!!」 早紀「さよなら」 早紀&いか&美鈴&涼子、捌ける。 達也「幽霊だったの!?」 暗転
明かりが点く。 達也、床に倒れている。 萌、出る。 萌「お邪魔しまうまぁ~。ちょっと、達也。大丈夫!!」 達也「うっ、う~ん。幽霊・・・。う~ん」 萌「はぁ、寝相悪いなぁ~。」 萌、達也の寝顔を見続けて 萌「この状況は、まさに唇を奪いにいかなくてはいけない状況ではないですか!!しかも、例えバレたとしても、看病のフリで誤魔化したり、あっ、私に風邪を移したら達也が治ると思ってとか言って可愛さアピールが出来てしまうというまたとない大チャンス!! ここでいかなくては女が廃る!! ゴー!!!」 萌、唇に顔を近づけるが緊張のあまり、シャツにダイブ。 萌「ああ~ん。達也のシャツに私のキスマーク。キャー。」 萌、悶える。 萌「って、流石にこれがバレるとまずいよね。こっ、これは、服を着替えさせるしかないね!! べっ、別に達也の裸が見たくて脱がすわけじゃないんだよ!! キスマークを隠すだけだからね!! そんな変態を見る目で見ないでよ!! あっ、既に変態だ・・・。ええ~い。ここは女だ!! いくしかない!!」 萌 、達也の服を脱がそうとする。 達也、起きる。 達也「あれ? 萌・・・。って、何やってんの!! 変態!! 獣!!」 萌「違うの!! これはただ、達也の裸が見たくて!!」 達也「何だ。そっかぁ~。」 萌「そうなの~。」 達也「やっぱり変態やん!!」 萌「冗談に決まってるでしょ!!」 達也「じゃあ、ホントは?」 萌「・・・キ、キスマー・・・」 達也「キスマ?」 萌「汗をかいてたから、着替えさせてあげようと思って!!」 達也「ホントにぃ~?」 萌「ホントにホント!! 嘘じゃないわよ!!そこに空があって、時間が過ぎて、息をしていて、生きているように、絶対普遍の事実なの!! ぜえぜえ」 達也「分かった分かった。」 萌「そうだ!! 達也、おかゆ食べる?」 達也「えっ? う、うん」 萌「待ってて。今作るから。」 萌、捌ける。 達也「あれ? いかちゃん・・・。・・・ゆめ・・・。夢!? 2重夢落ち!? ってか、ハズぅ~。こんな欲望丸出しの夢!! しかも、欲望の対象が男とか女子高生かよ!! 俺、どうしたんだ俺!!」 萌、袖から 萌「達也ぁ~。どうしたの?」 達也「いや。別に・・・」 達也、シャツについたキスマークに気付く。 達也「えぇ――――――――――。」 萌、出る。 萌「だからどうしたの!!」 達也「なんでもない!!」 萌、ストップモーション 達也「いかちゃん。美鈴。涼子さん。早紀さん。みんな、夢じゃなかったんだね。どういうことかはイマイチ分かんないけど、実在したんだよね? このキスマークがなによりの証拠だ。俺は、4人と過ごした日々を絶対忘れない。なんだかんだで凄く楽しかったし、家族?かな?そんな感じだった気がする。皆と過ごした時間の中で俺はたくさんの大切なことを教えてもらえた気がする。それは、犬と人間が恋に落ちて生まれた子が人面犬。とか、どんな時でもあきらめないで努力する。とか、先入観で人を判断しないでしっかりその人を見つめる。とか、そして何より・・・」 萌、ストップモーション解除 萌「達也ぁ~。おかゆ出来たよ。どうぞ、めしあがれ」 達也「ありがと。」 達也、おかゆを食べて 達也「好きかも・・・。」 萌「こっ、これは、私への告白!!やっと、私の片思い人生に終止符が・・・!!私も好きだよ~~♪」 達也「そっか、良かった。」 達也、おかゆを萌に差し出して、 達也「じゃあ、うん。」 萌「おかゆのことか~い!!」 達也「食べさせて。」 萌「達也・・・。はい。あ~ん」 達也「あ~ん」 達也にサスがあたる。 達也「そして何より、今、隣にいる萌が他の誰よりも可愛くて、優しくて、大好きな俺の運命の人だったってことかな。」
終幕
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