満天・満開・万引
~出会いの印~


cast
店の人:基本属性は、本日は晴天なり!!
    店の人

アキ:基本属性は、ボケ時々ツッコミ。
   警察官。
   捜査一課の刑事だったが、フユとの邂逅後、捜査三課に転属フユの捜査責任者になる。

フユ:基本属性は、天然。
   万引少女フユ。
刺激を求め非行をしていたが、アキとの邂逅後、万引少女になる。

春斗:基本属性は、ボケ。
   高校3年生。
夏美と幼なじみで夏美のことが好き。夏美の引っ越しについて、離れたくないと思っている。

夏美:基本属性は、ツッコミ後ボケ。
高校3年生。
春斗と幼なじみで春斗のことが好き。引っ越しをしたくないと思っている。




暗転幕がおりている。

秋「万引少女フユ、絶対に捕まえてやる」
冬「ふっふっふ、出来るものならばどうぞ」

アキ、フユ別の方向に捌ける。
暗転幕があがる。

夏「はるる~ん、それそれ、そうっ、その元気なやつがいい」
春「了解、なっつんの為なら、この金魚殺しの春斗と呼ばれた俺のポイが火を吹くぜ!」
夏「あ~ん、はるるんカッコイイって、金魚殺すなぁ~」
春「うっ、まっ、まぁ、そういうニュアンスのね。分かんないかなぁ~?」
夏「分からないけど?」
春「いや、分かるだろ!! 何年の付き合いだよ!!」
夏「どれだけ長く付き合っても分かりません。あんまりバカなこと言ってるとぷっ殺すぞ☆それぇ~」

夏美、言いながら、春斗の首を絞める

春「うっ、ぐ、ぐるじいぃ~」

アキ凄い勢いで出てくる。

秋「コラ~!! 何をしている~!! 暴行の現行犯で逮捕する!!」
春「何コレ。粗大ごみ?」
夏「いや。燃えないごみでしょ?」
秋「おっ、お~い!」
春「じゃあ。資源ごみ!」
夏「資源なんて上等なものじゃなさげ・・・。」
秋「だっ、だからね。」
春「じゃあ・・・。」
夏「生ごみ!!」
春「それだ!!」
秋「うえ~ん・・・。じゃね~。オレは人間だ~。オレは警察官のアキだ! シャキーン! シャキーン! シャキーン!」
春「マジで大丈夫か? コイツ」
夏「やばいんじゃない? シャキン、シャキン言ってるし・・・。」
秋「別にシャキンって言ってもいいじゃない。人間だもの。」
夏「はぁ・・・、行こっか?」
春「そうだな・・・」
秋「ちょっと、ストップストップ。さあ、オレが、灰色の脳細胞で導きだした真実を教えてあげましょう。ワトスン君?」
春「チョイ待て! 何か混ざってる。名探偵が混ざってる・・・。」
秋「ランね~ちゃん。」
春「また違う方面から攻めてきたね。」
秋「さて、オレの推理はこうだ。君たちは・・・。そういえば、まだ名前を聞いていなかったね? 名前は?」
春「何で言わなきゃいけねーんだよ?」
夏「言わなければいけない義務ないですしね?」
秋「オレは警察官だ、そして君達は今、暴行の容疑で事情聴取中だ!! 君達に拒否権などないのだ!!」
夏「黙秘権ありますよね?」

アキ凄く、どよ~んとする。
春斗、夏美、罪悪感からとりなす感じで。

夏「折節夏美です」
春「四季春斗です」

アキ、ふっかーつ。

秋「そうか、そうか夏美ちゃんに春斗君だね?オレは警察官のアキだ!!」
夏「さっき聞いたよ…」

アキ、どよ~んとする。

春「あ~あ、なっつん、やっちゃった…」
夏「うそっ、私のせい?」
春「うん…」
夏「あ~、アキさん? ごめんなさい?」

アキ、ふっかーつ。

秋:春「はいOK!!」
秋「夏美さんの謝罪頂きましたぁ~」
春「頂きましたぁ~」
夏「ヤバい、マジで殺意が…」
秋「それだよ!! いいかい夏美ちゃん、これから君は長い長い時間生きていく。その中で沢山の人に出会っていくだろう。その人たちの中にはいい人だっているが、悪い人だっている。気が合う人がいれば、合わない人だっている。中には殺したいぐらいムカつく人だっている。だが、そんな人達を殺してしまったら君の負けだ!! 警察に捕まって一生自由になれないまま死んでいく…。オレは君にそんな風になって欲しくない。だから、特別に殺したくなったときにどうすれば良いか教えてやろう。この言葉を心の中で唱えなさい。別にあんたの為に殺さない訳じゃないんだからね!! ただたんに自分が犯罪者になりたくないだけなんだからね!! とな☆」
夏「いや、別に殺そうとしてた訳じゃないからね!?」
秋「隠さなくていい。恋人同士のケンカが殺人になることはよくあることだ。」
春:夏「こ、こ、こぃ、恋…」
秋「今回はオレが偶然いた御陰で事なきを得たが…。いや、そんなお礼なんていいんだよ。警察官として当然のことをした…」
春:夏「恋人同士じゃない!!」
秋「えっ、そうなの!?」
春「はい、ただの幼なじみの腐れ縁ですよ」
夏「そうそう、春斗なんて、恋人とか友達っていうより家族って感じですよ」
春「はぁ~。お前と血繋がってねぇぞ!!」
秋「血の繋がってない家族? 複雑だね」
夏「そんくらい分かってます~。あんたより頭良いからね!!」
春「あんたとか言うな!! 夫婦とか思われたら迷惑だ!!」
夏「私だって、嫌よ!!」
秋「なるほど!!血の繋がってない家族って夫婦か!!その年で結婚なんてやるなぁ~」
春:夏「結婚なんてしてませんから!!」

袖から声だけ

冬「万引少女フユ、只今参上!!」
秋「万引少女フユ!? 捕まえるぞ!! 付いて来い春斗君!!」
春「えっ!! あっ!! はい!! アキ警部!!」
秋「違う!! オレは警部じゃない!! 巡査だ!!」

アキ、春斗上手へ全力疾走。

夏「胸張れることかぁ~!!……あ~あ、どうしてケンカになるんだろ…今日が最後の七夕なのに…」

下手花道で

店の人「どろぼ~う!!」
冬「フフフフッ!!!綿菓子頂いていくよ!!それじゃあ、バイバーイ☆」
店の人「クソッ!!逃げ足の速い!!」

フユ、花道から舞台へ

冬「楽勝楽勝、後はあいつを撒いてアキ君が来るのを待つだけだね~」
冬:夏「きゃっ…」

フユ、夏美ぶつかる

夏「いったぁ~。どこに目ん玉つけてんのよ」
冬「ごめんなさい!! 変な人に追いかけられてたの」
夏「変な人って、あんたのこと?」
冬「違うよ、ほらあの人よ。助けて!!」

店の人、走ってくる

店の人「待てぇ~。世の中にはやっていいことと悪いこ…」
夏「彼女が怖がっています。消えてください」
店の人「あっ、あのねその子は…」
夏「黙れ!! じゃ~かしいんじゃ、このボケがぁ~!! てめぇの話なんぞ誰も聞いとらんのじゃ!! ああん!? ほれほれほれほれほれぇ、どんどん人集まってきとるぞぉ。女の子追いかけとるような変態やと思われとうなかったら、サッサと消えんかい!! ヴォケェ~!!」

野次馬役を出すor観客を野次馬に見立てる

店の人「うっ…。バーカ…」

店の人、捌ける


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野次馬役を出したとき

1「あの女の子怖かったな」
2「ねぇ~、めっちゃ怖かった。私は優しくてあんた良かったなぁ?」
1「いや、それはどうかな?」
2「どういう意味や!!それ!!」
3「あのストーカー、最低だけど、ちょっと可愛いそうやね」
4「うん、すっごい迫力だったよね?」
5「ストーカーの捨て台詞、可愛いかったなぁ~」

口々に言いながら捌ける
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夏「大丈夫だった?」
冬「うん、全然平気!! 追い払ってくれてありがとね」
夏「どういたしまして!! でも、平気なんて強いね!!」
冬「だって、毎日追いかけられてたら、いい加減慣れるわよ」
夏「へっ? 毎日追いかけられてるって?」
冬「あれ、分からない? アタシ万引少女フユよ? 結構、有名になったと思ってたけどまだまだね。はぁ~」
夏「ううう嘘でしょ!?」
冬「いや、ホントだけど?」
夏「じゃじゃじゃあ、さっきの人ってまさか警察!?」
冬「いや、アタシが万引した店の人だよ」
夏「どどどどうすればいいの!? とりあえず謝りに…」
冬「大丈夫だって、気にしない。気にしない。」
夏「大丈夫じゃないわよ!! だいたい何で万引少女なんてやってるのよ!?」
冬「そんなのアキ君が好きだからに決まってるじゃない!!」
夏「アキ君?」
冬「そうアキ君との出会いは、2011年10月3日の午前11時32分25秒のことだった。アタシは毎日毎日変化の無い、同じ事の繰り返し、そんな人生に飽き飽きしてたの。何か刺激を求めてた。不良が集まっている所に行ってみたり、酒や煙草をやってみたり…。でも、何も変わらなかった…。アタシはどんな刺激が欲しいの? 何をすれば、この人生を楽しめるの? ずっとずっと考えてた…。そんな時、アタシはアキ君に捕まった。そして、アキ君はこう言ったわ…。毎日繰り返される長い人生に刺激が欲しいのはわかる。でも、あまり刺激が多いと疲れるんだぞ☆って。アタシは目から鱗が落ちる思いだった。そして、アタシは恋をした!!」
夏「で?」
冬「で? って?」
夏「だーかーら、何でアキって人に恋をしたからって、万引をするのよ!?」
冬「アキ君が警察官だから、万引してれば追いかけてくれるかな~って思って…」
夏「それだけ!? 何て迷惑な…。んっ…アキ…警察…。まさかアキってあいつか!?」
冬「えっ!!アキ君のこと知ってるの?」
夏「知っとるなんてもんじゃねぇわ~、あの青二才がぁ~!! 人の連れ、連れて行きおって、ふざけんな!!」
冬「あんた怖いわね…。冗談抜きで…」
夏「あっ、ゴメンナサイ。ついカッとなって…」
冬「その変わり身の早さも怖いわね…。でも大体分かったわ。好きな人をとられて怒ってるのね。心狭!!」
夏「ちっ、ちがっ…」
冬「何がぁ~? 好きなんでしょ~? アタシも好きな人教えたんだから教えてよ~」
夏「教えてなんて言ってないし…」
冬「へぇ~、夏美ちゃんそういうこと言うんだね~。ひど~い」
夏「…好きです」
冬「えっ、なになに? 聞こえな~い」
夏「好きだっつってんだよ!! てめぇのその使えねぇ耳かっぽじって、よう聞こえるようにしたろかヴォケ」
冬「ごっ、ごめんなさい。でもいいじゃないの。アキ君にとられたからって。また来年もあるんだから」
夏「私、今度引っ越しで遠くへ行かなきゃいけないから…。最後の思い出で2人で楽しみたかったの…」
冬「甘い!! 非常に甘い!! 蜂蜜入りの、砂糖入りの、オリゴ糖入りの、どのお汁粉よりも甘い!! 全てを入れたお汁粉よりも甘い!!」
夏「何が甘いのよ!!」
冬「自分で何もせずに、まるで私は悲劇のヒロインですぅ。みたいな、そんな生温いやり方で意中の相手捕まえられると思うな!!」
夏「抵抗したわよ!! 親に何度も何度も頼んだ。引っ越したくないって頼んだわ。でも…でもダメだったの!! もうしょうがないのよ…」
冬「しょうがない…生姜が無いなら、畑行ってこい!! でもなぁ、幸せは畑には落ちてないんだよ!!」
夏「…」
冬「…コホン、まぁ、そんな感じよ!!」
夏「どんな感じだ!?」
冬「だーかーらぁ、どうせ悲劇のヒロインぶるんなら、シンデレラみたいに上手くやりなさいってことよ」
夏「どういうこと?」
冬「シンデレラは継母や義姉って時点で充分、悲劇のヒロインでしょ? そして、その立場を利用して魔女に元よりめっちゃ可愛くしてもらっ、舞踏会に行ったでしょ?」
夏「うんうん」
冬「そりゃ、魔女の魔法がかかってるんだもん。王子様に好かれるに決まってるよ~。」
夏「うんうん」
冬「しかし、魔女の魔法は0時を過ぎると解けてしまいます。そして王子様の前で0時を告げる鐘が…ゴーンゴーン。さぁ、夏美ならどうする?」
夏「えっと…、王子様ごめんなさい。私のホントの姿はこれなの。」
冬「ダメ!! ダメダメダメダメ!! だから、夏美は甘いんだって、シンデレラはその後、あっ、靴が…って言って、靴を落としてきたの。そしたら王子様はどうする?」
夏「靴の匂いを嗅いで、靴の匂いフェチに…」
冬「ならないから!!靴を返すためにシンデレラの居場所を捜すの」
夏「なるほど…でっ?私はどうすればいいの?」
冬「そんくらい自分で考えな!! アタシみたいに万引すれば、追いかけてくる奴なら、万引すればいい。シンデレラみたいに靴を落とせば、追いかけてくる奴なら、 落とせばいい。男に追いかける口実を上げればいいの。男が追いかけなければならないような状況をつくればいいの。男にとって、ほっとけないような、重たい女になりな。」
夏「それって、どうすれば…」
冬「だから自分で考えなさい!!」

夏美、考えるポーズ
フユ、アキを捜してキョロキョロ

暗転幕おりる
下手花道で

秋「ふむふむ、それから?」
店の人「何か、すっごいおっかない女の子に追い払われてしまったんです」
秋「かぁ~、小娘相手にみっともない。同じ男として恥ずかしいよ」
春「でも、今の女子は怖いですからねぇ。俺らの世代じゃ、女子の方が強いですからねぇ。」
秋「んっ、そうなのか?」
春「はい、さっき一緒だった夏美もねぇ、怖いの何のって…、どんな男でも、あいつがキレたら半端ない毒舌でノックアウトですよ…。俺も子供の頃はケンカする度に泣いてましたよ…」

春斗、涙を拭う動作
アキ、それに気づいて

秋「それでは、ご協力ありがとうございました。また何か思い出したことがあればご連絡ください。」

アキ、春斗、舞台へ

秋「なあ、今泣いてたよな? どうしたんだ?」
春「えっと、欠伸しちゃって・・・」
秋「嘘つけ!! 喋りながら欠伸が出来るか!!」
春「出来ますよ。ふぁ~ふぁ」
秋「やらんでいい。っていうか、出来てない!! っていうか、今バカって言っただろ」
春「そんなバカなんて言うわけないじゃないですか。バカだなんて、アホよりも酷いバカだなんて、アキさんにバカだなんて、口が裂けてもバカだなんて言えませんよ。」
秋「その割には、今だけでものすごくバカを聞いた気がするぞ。それから、バカとアホは方言の違いなだけで悪口の度合い的には一緒なんだぜ。」
春「へぇ~。そうなんですか!!知らなかったな~。流石アキさん!! 物知り!! 天才!! 大根役者!!!」
秋「最後のはほめ言葉じゃないけど自覚ある?」
春「えっ、なにを言ってるんですか? よく言うじゃないですか。よっ! 大根役者! って。もうアキさんバカだなぁ~」
秋「それを言うなら千両役者・・・。そんなことより、今バカって言っただろ!」
春「てへ☆ばれちゃった。でも実は欠伸した時もいってたんだよぉ~。」
秋「やっぱりか~。ふざけんな~」
春「しかも大根役者もワザとだったりして~♪」
秋「マジかよぉ~。まあいいや話がそれた。で、結局なんで泣いてたんだ?」
春「え~と。あっ。唐辛子をさわった手で目を触っちゃって・・・」
秋「そ~いえばさぁ、知ってるか? 一回目の供述で嘘ってバレた時の二回目の供述はほとんどが嘘なんだぜ」
春「えっ、そうなんですか?」
秋「あぁ、警察の取り調べの基本だな」
春「ヒドい!! 話聞く前から信じる気がないのに聞くなんて!!もうムカつきました。帰らせていただきます」
秋「おっ、おい!! 待てって!!」
春「いや~、そこまで言われたらしょうがないですね~!! そこまで言うのでしたらかえらないであげましょう!! いや~、俺優しいなぁ~」
秋「生姜が無いなら畑行って…。危な!! これ以上言ってたらスベるとこだったわ~」
春「いやいや、充分スベってましたからね」
秋「うわぁ~、失礼だな~」
春「いえ、事実ですから?」
秋「確かにそうだ!!」
春「はい!!」
秋:春「ハハハッ」
秋「でっ? 結局なんで泣いてたんだ?」
春「結局むしかえすのか…、まぁ、いいや。因みにさっきの理屈で言うのなら、三回目は信じてくれるんですよね?」
秋「あぁ、まあな」
春「欠伸しちゃって…」
秋「却下!!」
春「えっ、なんで!? 信じてくれるんじゃなかったの!?」
秋「いや、最初に嘘だって認めたやつを信じられるか!!」
春「だって他に思いつかなかったんですよぉ~」
秋「っていうか、思いつかないって言ってる時点でもうダメだと思うぞ」
春「しまった~」
秋「アホの子だ~」
春「じゃあ、他にどういう言い訳がありますか?」
秋「えっ、え~、。コンタクトがズレたとか? めっちゃ感動するドラマを思い出したとか?」
春「おぉ~、流石はアキ警部!! いつも嘘ついてるだけのことはありますね!!」
秋「おい~、それは聞き捨てならんなぁ~!! オレは警察だぞ!! 嘘なんかつくものか!!」
春「じゃあ、どうしてそんなにスラスラ嘘がつけるんですかぁ~?」
秋「警察やってるとなぁ~…、嘘をつく奴に会うことが多かったりするんだよ~」
春「へぇ~、例えば?」
秋「まぁ、容疑を否認する為に嘘をついたりってのもあるし…、春斗ぐらいの年の少年犯罪では自分を騙すために嘘をつく奴もいるな…」
春「どういうことですか?」
秋「うん? えっと、例えばこれは経験談だけどな、そう、そいつとの出会いは2011年10月3日午前1時32分25秒のことだった…。そいつは毎日繰り返される何の変哲のない人生には飽きたと言って、酒や煙草に手をだしていた。」
春「えっ!? 人生が嫌で煙草!?」
秋「あぁ、刺激が欲しい!! ちょっと大人になりたい!! そんなことを思う年頃だったんだろう」
春「でもそんなことじゃあ、意味ないんじゃ…」
秋「あぁ、何も変わらない…、でも変わらないのは刺激が足りないだけだ…。麻薬ならもっと刺激がなんて言っていてな…。そいつもそんなコトじゃ変われない事ぐらい分かってたんだろうが、自分の人生は変えることが出来るんだ!! って、自分を騙してもっと深みにはまっていってしまう」
春「その子はその後?」
秋「一応オレが説得したんだが…」
春「ダメだったんですか?」
秋「いや、一応酒や煙草まして麻薬なんてのに手出すのは止めてくれたんだが…」
春「どうしたんですか」
秋「万引少女フユと名乗って、万引をするようになった…。おそらくオレのせいなんだろうな…。オレの説得がますかったせいで彼女は…。」
春「そんなコト!!…ない…で…すょ…‥」
秋「オレのせいって、分かってるから、もういいよ…」
春「因みに説得って?」
秋「毎日繰り返される長い人生に刺激が欲しいのはわかる。でも、あまり刺激が多いと疲れるんだぞ☆」
春「あ~。それはアキ警部のせいかも…あっ!!」
秋「分かってるからトドメさすなよ」
春「ごめんなさい」
秋「それから、さっきからちょいちょい言ってるけど、オレは警部じゃなくて巡査だ」
春「ごめんなさい、アキ警部!!」
秋「ほら、またぁ~」
春「今のはワザとです」
秋「まぁ、わかってたけど」
春「テヘペロ」
秋「…うん、話がズレちゃったね」
春「ごめんなちゃい」
秋「さっきから何なんだ」
春「だって、あまり空気が重いと疲れらかなぁ~ってコリン」
秋「あ~、無理するな」
春「はい」
秋「…」
春「…続けて下さい」
秋「そう、しかし、オレはそれで終わらせなかった…。彼女が自分をだまし続けている状態から何とか助けると誓った…」
春「誰に?」
秋「…突然言われると困る」
春「ごめんなしゃい」
秋「空気を軽くしようとしてくれなくていいからね…」
春「はい!! 今後は自重しようかな」
秋「…」
春「…続けてください」
秋「だから、彼女を助ける為に、彼女が起こした事件を全て調べなおした」
春「ストーカーか!!」
秋「春斗君、君ね、自重という言葉を知ってるのかな?」
春「Yes.Of Course!! 俺、今年度、大学受験ですよ!! バカにしないで下さい」
秋「だったら、空気軽くしようとしてくれなくていいからね…」
春「いや、空気軽くしようとした訳じゃなくて本音ですよ」
秋「ストーカーじゃないわ!!」
春「でも、アキさんは良いですよね…追いかけることが出来る立場にいられて…俺なんて…」
秋「バカヤロー」

アキ、春斗を殴る

春「いってー、何すんだ!!」
秋「…バカヤロー」

アキ、春斗を殴る

春「だからマジでなんなんだよ!!」
秋「いやぁ、あそこは殴る場面かなぁって殴ってみたんだけど…」
春「特に言うことなかったんかい!!」
秋「いや、ある!!」
春「それ言ってみろや!! もししょうもなかったら、100倍返ししたるでな!!」
秋「100倍返しされたら、普通の人は多分死ぬぞ…。オレがフユを追いかけると決めたとき、オレは、捜査一課、主に殺人とかの凶悪犯罪を担当する課に居たんだ…」
春「それって…」
秋「そうだ。彼女をしっかり見守って更生させるには、捜査一課、警部・・・。そんな肩書きが邪魔だった。」
春「でも、諦めなかったんですよね!!」
秋「当たり前だろ!! フユがああなってしまったのは、オレのせいなんだから…。」
春「どうやって追いかけられる立場を手に入れたんですか」
秋「何度も、何度も、フユの近くの交番に異動させてもらえるまで頼みこんだんだ。そんな自分勝手なことが許されるかと怒られたって。馬鹿な奴だと嘲笑われたって。何度も、何度も…」
春「途中で、諦めようとは思わなかったんですか」
秋「追いかけられる立場を手に入れる前に諦めたら意味がないからな」
春「なるほど…。確かに諦めたら意味ないな…。でも、どうやったら、夏美を追いかける立場を手に入れられる…? どうすれば、夏美の近くにいることができる…? どうすれば…? そうだ!!」
秋「そういえばさ~、結局さっき何で泣いてたんだ~?」
春「ははっ、目にゴミが入っただけですよ!! そんなことより、早くなっつんの所に戻りましょう」

春斗、走って捌ける

秋「ふぅ、答えを見つけることが出来たんだな…」

アキ、春斗を追いかけて捌ける

暗転幕が開く
夏美、考えるポーズ
フユ、アキを探してキョロキョロ
春斗、登場

春「なっつ~ん」
夏「はるる~ん。お帰り~」
春「ただいま。ごめんな、勝手に行っちまって…んっ、その子誰だ?」
夏「あっ、あぁ、この子は…」

アキ、走って登場

秋「コラ~!! 万引少女フユ~!! 万引なんてやめて、真っ当な人生を送るんだ!!」
冬「嫌よ!!このドボケ。ドアホ。ドバカ。ドブス。ドハゲ。アタシは、一生万引をするって決めたの!! そんなに更正求めるのなら、頑張って捕まえればいいでしょ!!」
夏「さすがです。フユさん!! さり気なく追いかけて欲しいことを、伝えてる!!」
秋「あぁ、追い続けてやるよ!!」
春「さすがです。アキさん!! さり気なく追いかけることを、宣言してる!!」
春:夏「さすがです!!」
冬「そう、いくら追いかけてきても、捕まえられないわよ」
秋「それはどうかな!!」
冬「じゃあ、なっちゃん、バイバーイ!!アキ警部もバイバーイ!!」

フユ、捌ける

秋「オレは警部じゃない!!巡査だ~!!」

アキ、捌ける

夏「だから胸張れることか~」

暗転幕下りる
次の暗転幕が昇る間に、舞台上の大道具、小道具を片づけて、ベンチか岩等の腰をかけれるものを用意しておく

秋「捕まえた」

アキ、フユの手を掴む

冬「捕まっちゃった」
秋「ふぅ、やっと追いついた」
冬「ふぅ、やっと追いついてくれた」
秋「どうかしたのか?」
冬「アキ巡査の言った通りでした」
秋「何が?」
冬「万引をして、アキ巡査とおいかけっこをして…そんな生活は刺激的で楽しかったけど、疲れちゃった。」
秋「だったら、万引をしなければ良いだろう?」
冬「いいえ、それでもアタシは、万引をしなければいけないの」
秋「そうか…、自首しないのなら、逮捕しなければいけないな」
冬「そっか…、もう終わりなんだね…」
秋「いやっ、終わりじゃないぜ。こっからが始まりだろ」
冬「なんで? 逮捕するんでしょ?」
秋「あぁ、逮捕するぜ」
冬「だったら…」
秋「万引少女フユ、窃盗…オレの心を窃盗した容疑で逮捕する!! オレの家までご同行願おうか…」
冬「アキくん!! 懲役、何年になっちゃうのかな?」
秋「もちろん。俺の心に終身刑だよ。」
冬「流石アキくん!!」
秋:冬「ハハハハハ」

アキ、フユ笑いながら捌ける
暗転幕があがる

夏「あ~あ、これで今年の七夕も終わりだねぇ~」
春「だな~、最後の七夕だったのにな…」
夏「うん…」



夏「…フユさん達どうなったかな?」
春「なにが?」
夏「フユさんは、アキさんが好きで、追いかけられるために万引してるんだって、だから…」
春「あぁ、わかんねぇけど、アキ巡査も好きみたいなこと言ってたし、うまくいったんじゃね」
夏「へぇ~、そうなんだ…。」
春「どうかした?」
夏「なんかね、上手くいったのは嬉しいけど、私達は今日で最後なんだって思うとちょっと…」
春「終わりにしない!!終わりにしたくない!! 俺、お前の引っ越し先の近くの大学を受験するよ!!だから、今は無理でも絶対行くから、それまで、待っててくれないか?」
夏「はるるん…。うん、わかった。約束だね」
春:夏「ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのます、ゆびきった♪」



夏「見て見て!! 星が綺麗だよ」
春「ホントだ!! 満天の星空ってやつだな」
夏「織姫さんと彦星さんも会えたんたね」
春「あぁ、良かったな」

春斗、夏美前に

春「アキさんと」
夏「フユさんの」
春:夏「出会いの印は万引!!」
春「万引やめたら」
夏「もう会えない」
春「彦星と」
夏「織姫の」
春:夏「出会いの印は満天」
春「雨が降ったら」
夏「もう会えない」
春「なっつんと」
夏「はるるんの」
春:夏「出会いの印は満開」
春「桜が散ったら」
夏「もう会えない」

春斗、夏美にサス

春:夏「桜が咲きますように」




おわり
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